GitHub Enterprise Cloudは、クラウドベースのエンタープライズ向け開発プラットフォームです。その料金体系は柔軟性があり、企業の規模やニーズに合わせて利用できます。しかし、GitHub.comの他のプランと異なり、料金体系の計算方法に複雑さを感じるかもしれません。
本記事では、GitHub Enterprise Cloudプランの料金体系を「ユーザー数」「GitHub Actions/Packages」「GitHub Codespaces」の3つの要素に分けて、総コストの計算方法をわかりやすく解説します。さらに、コスト最適化のポイントもご紹介します。
GitHub Enterprise Cloudプランはユーザー数に応じた料金体系
GitHub Enterprise Cloudプランの料金は、基本的にユーザー数に応じた月額または年額料金が基本となります。
- 料金の目安
公式サイトで公開されている料金は、ユーザー1人あたり月額21ドルです。ただし、この金額はあくまで目安であり、実際の価格は契約するユーザー数や契約期間、特別な割引などによって変動する可能性があります。 - 最低契約ユーザー数
GitHub Enterprise Cloudには、最低契約ユーザー数が設定されています。具体的な人数は公開されていませんが、一般的に数十人から数百人規模のチーム向けとなっています。 - 初期費用
原則として初期費用は発生しません。
※参考:GitHub「プランご紹介」
※この情報は、2025年8月26日時点のものです。最新の情報については公式サイトをご確認ください。
契約期間と料金
GitHub Enterprise Cloudプランは、契約期間に応じて柔軟な選択肢を提供します。
- 契約期間 月次契約と年次契約の選択が可能です。
- 長期契約のメリット 年次契約を選択すると、月次契約よりも割引が適用されるため、コストを抑えることができます。
サポート体制と料金
GitHub Enterprise Cloudプランのライセンスには、GitHubからのスタンダードサポートが含まれています。より手厚いサポートが必要な場合は、追加費用でプレミアムサポートプランを契約できます。
- 無料試用 一定期間、GitHub Enterpriseの機能を無料で試すことができます。実際のプロジェクトで利用感を確かめるのがおすすめです。
- デモ GitHubの公式サイトでデモを申し込むことができます。導入の疑問点を解消し、具体的な利用イメージを掴むのに役立ちます。
※参考:GitHub Docs「GitHub Enterprise Cloud のトライアルを設定する」
※この情報は、2025年8月26日時点のものです。最新の情報については公式サイトをご確認ください。
GitHub Advanced Securityの料金と機能
GitHub Enterprise Cloudプランの強力な機能の一つに、GitHub Advanced Securityがあります。これは、セキュリティ機能をさらに強化する追加オプションであり、別途ライセンス費用が発生します。
GitHub Advanced Securityの料金体系
GitHub Advanced Securityは、有効化したコミッター数に基づいて課金されます。ユーザー数ではなく、実際にコードをリポジトリにコミットする「アクティブなコミッター」の数が課金対象となります。これにより、閲覧のみのユーザーが多い場合でもコストを抑えられます。
主な機能
GitHub Advanced Securityには、以下の3つの主要な機能が含まれています。
- Code scanning 静的コード解析ツール(SAST)です。コード内の潜在的な脆弱性やバグを自動的に検出し、修正を提案します。
- Secret scanning リポジトリ内に誤ってコミットされたAPIキーや認証情報などのシークレット情報を検出します。
- Dependabot security updates 脆弱性が含まれる依存関係を検出し、自動的に修正用のプルリクエストを作成します。
セキュリティを重視する企業にとって、GitHub Advanced Securityは不可欠なツールであり、基本料金と合わせて予算を組む必要があります。
従量課金:GitHub ActionsとGitHub Packages
ユーザー数に応じた基本料金に加え、GitHub Enterprise Cloudプランでは、GitHub ActionsやGitHub Packagesの利用量に応じて従量課金が発生する場合があります。
GitHub Actions
GitHub Actionsは、ワークフローの自動化に利用されるサービスです。通常、GitHub Enterprise Cloudプランの基本料金には、一定時間のGitHub Actionsの実行時間が含まれています。
- 無料枠 GitHub Enterprise Cloudプランに含まれる無料枠(Minutes)を超過すると、利用した時間(Minutes)に応じて課金されます。
- 課金対象 プライベートリポジトリでのワークフロー実行時間が主な課金対象となります。パブリックリポジトリでの利用は無料です。
GitHub Packages
GitHub Packagesは、コンテナイメージやライブラリをホストするためのパッケージレジストリサービスです。
- 無料枠 プランに含まれる無料のストレージ容量(Storage)とデータ転送量(Data Transfer)を超過すると、利用量に応じて課金されます。
これらの従量課金は、利用状況によって大きく変動するため、予期せぬコスト増を避けるために利用状況をモニタリングすることが重要です。
その他のコスト:GitHub Codespaces
GitHub Codespacesは、クラウド上で開発環境を構築・実行できるサービスです。GitHub Enterprise Cloudプランには含まれておらず、完全な従量課金制で提供されます。
Codespacesの料金は、以下の2つの要素で構成されます。
- 利用時間 Codespaceがアクティブに稼働している時間(時間単位)。
- ストレージ Codespaceが使用するディスク容量。
開発者がCodespacesを頻繁に利用する場合、この費用が総コストに大きく影響する可能性があります。コストを管理するためには、利用していないCodespaceを停止したり、不要なCodespaceを削除したりすることが推奨されます。
総コストの計算方法とコスト削減のポイント
GitHub Enterprise Cloudプランの総コストは、以下の4つの要素で構成されます。
コストを最適化するためには、以下のポイントを意識しましょう。
- ユーザーライセンスの見直し 定期的にアクティブユーザー数を確認し、不要なライセンスを整理する。
- Advanced Securityの有効化 必要なリポジトリのみにAdvanced Securityを有効化し、コミッター数を最適化する。
- 従量課金の管理 GitHub Actionsの実行時間やGitHub Packagesの利用状況をモニタリングし、不要なビルドの削減や古いパッケージの削除を行う。
- Codespacesの効率的な利用 利用していないCodespaceは停止・削除するようチーム内でルールを定める。
GitHub Enterprise Cloudプランの契約方法
GitHub Enterprise Cloudの契約は、主に以下の2つの方法で行うことができます。
- GitHub営業担当者との直接契約
企業の規模やニーズに合わせた見積もりを直接取得できます。ただし、コミュニケーションは英語が基本となるため、英語でのやり取りに慣れていることが前提となります。 - 認定代理店経由での契約
認定代理店が提供するサービスを利用して契約する方法です。多くの代理店は、日本語でのサポートや、導入支援、請求代行など、独自の付加価値サービスを提供しています。
契約の際は、GitHubの営業担当者や認定代理店の営業担当者と相談して、自社の規模やニーズに合わせた見積もりを取得する必要があります。
※参考1:GitHub「プランご紹介」
※参考2:システムサポート「GitHub Enterprise導入支援サービス」
※この情報は、2025年8月26日時点のものです。最新の情報については公式サイトをご確認ください。
認定代理店を利用するメリット
自社の状況に合わせて、最適な契約方法を選択しましょう。
- 日本語でのサポート 英語でのコミュニケーションに不安がある場合でも、日本語で安心して相談できます。
- 導入支援サービス 複雑な設定や移行作業を代行してもらえる場合があります。
- 請求代行 代理店が請求業務を代行するため、管理の手間が省けます。
まとめ:最適なGitHub Enterprise Cloudプラン選びのポイント
GitHub Enterprise Cloudは、料金体系と柔軟なオプションが魅力です。最適なプランを選ぶためには、以下のポイントを押さえましょう。
- ユーザー数の見極め 現在の利用者数だけでなく、将来のチーム拡大も考慮してライセンス数を決定します。
- 必要機能の洗い出し Standard Securityで十分か、Advanced Securityが必要かなど、自社のセキュリティ要件を明確にします。
- 認定代理店の活用 日本国内でのスムーズな導入や運用を望む場合は、支払い方法やサポート体制が充実した認定代理店を利用するのが賢明です。
これらの情報を基に、自社のニーズに合ったGitHub Enterprise Cloudプランの導入を検討してください。